債務整理というと、銀行や消費者金融からの借入、クレジットカードでのキャッシングが対象で、ショッピングは対象外と思われている方がいらっしゃいますが、ショッピングも債務整理の対象になります。
便利なショッピングカードでも、利用方法を間違えれば返済に追われ平穏な日常生活が破綻しかねません。
司法書士がショッピングカード利用での注意点及び債務整理について解説します。
クレジットカードについて
お使いのクレジットカードには、ショッピング枠とキャッシング枠が設定されています。
ショッピング枠とは、クレジットカードを使用してショッピングができる利用限度額です。
キャッシング枠とは、クレジットカードで現金を借りることができる借入限度額です。
クレジットカードでショッピングして一括払いにした場合、手数料はかかりません。
購入金額と同額を一括で支払います。
対して、キャッシングで現金を借りた場合、一括払いにしても借りたときから返済までの利息を支払うことになります。
カードショッピングの手数料
消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用した場合、返済するまで日々「利息」が発生します。
しかし、ショッピング枠を利用した場合、お金を借りたわけではないので「利息」は発生しません。
ショッピングでは、クレジット会社がカード利用者に替わって購入金額を一括でお店に支払います。いわゆる立替る形になります。利用者は立替えて貰った金額をクレジット会社に一括、分割、リボ払いの形で返済していくことになります。
このとき、クレジット会社には「利息」に相当する「分割手数料」を購入金額に加えて返済していくことになります。
立替え金であり貸金ではないので、貸金業法は適用されず、また、利息制限法も適用されません。
ただし、クレジット会社が好き勝手に手数料を設定することを防止するために、国によって出資法に準拠するよう指導されています。
分割手数料は実質年率として表示されていますので、サービスや特典とともにこの率も参考に利用するクレジット会社を決めるのが良いでしょう。
通常、ショッピングよりもキャッシングの方が利息が高く設定されています。
※ショッピング利用には利息制限法が適用されないので、過払い金が発生することはありません。
ショッピング利用の債務整理
債務整理については、消費者金融からの借入に対する債務整理と同様です。
「任意整理」「個人再生」「自己破産」によって対応することになります。
また、弁護士や司法書士に依頼せずに自身で債務整理を行いたい場合は、「特定調停」を利用するのが良いでしょう。ただし、申立前に必ず「特定調停」の長所、短所を確認して手続きを進めて下さい。
「任意整理」「個人再生」「自己破産」については、ショッピング利用だからと特別な事はありません。
利用残高、毎月の支払額と収入をもとに最適な債務整理方法で解決を目指すことになります。
カードショッピング債務整理の注意点
信用情報事故登録(ブラックリスト)、クレジットカードの利用停止、官報公告等については、金融機関からの借入に対する債務整理と何ら変わりありません。
ただし、以下の2点については注意が必要です。
商品が回収される可能性
クレジット会社、購入した商品、残額等によりますが、ショッピング枠を債務整理した場合、購入した商品が回収される可能性があります。
これは契約約款で、商品の代金全額が支払い終わるまで商品の所有権はクレジット会社にある(所有権の留保)と定められているからです。
必ず商品が回収されるわけではありません。
回収費用や商品価値、換価したときの回収金額等が考慮され、回収するかどうかクレジット会社が判断します。
換価性の高いブランド品や自動車、宝飾品、パソコン、高級家電等が回収の対象になりやすいです。
ショッピング枠だけの債務整理はできない
ショッピング枠を債務整理する場合、同時にキャッキング枠も債務整理することになります。
2万、3万と急に必要になっときに便利に使えるキャッシング枠は残したまま、フルに使って返済がきつくなったショッピング枠だけを債務整理したい・・ということはできません。
まとめ
大きなお金を持ち歩くことも、小銭をジャラジャラと持ち歩くこともなくショッピングできるクレジットカードはとても便利です。
買い物する度にポイントが付くのも大きな魅力です。
しかし、その便利さが知らぬ間に返済に追われ日常生活に支障がでるまでになってしまうことがあります。
安易に分割、とくにリボ払いを利用することは控えましょう。
リボ払いは返済が一定で、一見計画的に利用できそうですが、利用総額が大きくなると返済における手数料の割合が大きくなり、元金がなかなか減らず返済期間も長期に渡ることになります。
一定額と言えども、毎月、毎月、延々と2万、3万円を支払っていくのは大変です。
ショッピングカードを利用しての支払いは、手数料が付かない1回払いを基本として、分割払いやリボ払いは計画的に余裕をもって利用するようにしましょう。