内緒

借金を家族に知られたくない、内緒で債務整理したい。司法書士が債務整理の問題点を解説します。
自己破産、借金問題は福岡の大濠公園前司法書士債務相談室にお任せ下さい。
家族に内緒で借金をしてしまい、返済に苦しまれている方は少なくありません。

債務整理をしたいと思っても、妻や、夫、親、会社にバレることが嫌で、怖くて、ちゅうちょされている方もいらっしゃいます。
しかし、そのちゅうちょは、長く苦しみ、借金を大きくしてしまう結果を招いてしまいます。

家族には正直に話して債務整理を行い、家族と共に再生の道を歩むのがベストです。しかし、人それぞれに事情があり、できれば知られたくないという気持ちも十分理解できます。ここでは、できる限り家族や会社に内緒で債務整理を行う方法をご説明します。

  • 家族が保証人になっている場合は、「個人再生」「自己破産」を内緒ですることはできません。
  • 会社から借入している場合、「個人再生」「自己破産」を会社に知られずにすることはできません。

保証人でなく、同居していなければ、家族にバレることはまずないでしょう。

内緒の債務整理は任意整理が最適

任意整理に裁判所は一切関与しないので、裁判所提出書類が不要です。裁判所が絡むと提出書類作成に家族の協力が必要なこともありますが、任意整理では必要ないので内緒で手続をすすめることができます。

この手続は、司法書士が依頼人の代理人として各債権者(消費者金融等)と交渉するので、実質的に依頼人は何もすることはありません。

司法書士は将来利息のカット、月の返済額、返済期間等に関して交渉を行い、結果を依頼人に逐次報告します。依頼人はその結果を聞き、了承するか、再交渉するかの判断をします。

了承いただければ、相手と合意書を取り交わし、合意内容に従って返済を再開することになります。

司法書士との連絡は依頼人の携帯に限定し、連絡時間も夜や休日等の家族と一緒にいそうな時間は避け、平日の昼や時間を決めて連絡することで、家族への秘匿性を高めることができます。

身内が保証人になっている

保証人がいる債権を任意整理すると、債権者は当然に保証人に返済を求めます。これを止めることはできません。

これにより、保証人に返済が苦しくて債務整理していることがバレます。

これを避けるには、保証人が付いている債権を任意整理の対象から外します。個人再生や自己破産では全ての債権が強制的に整理対象になりますが、任意整理では整理する債権を選択することができます。

保証人のいない債権を任意整理して返済額を軽減し、浮いた分を保証人のいる債権の返済に回して当初の契約通りに返済すれば、保証人が請求されることはなくバレる心配はありません。

ポイント

任意整理の基本は将来利息のカットです。元本自体を減額することは難しいです。他の整理方法と比較して減額幅が小さいので、借金が大きく膨らんでしまったら任意整理による債務整理は難しくなります。借金が小さいうちに手続きに着手することが重要です。

注意点

任意整理の間、返済をストップします。交渉が長引けば返済はストップしたままなので、債権者の中にはその状態を嫌がって訴訟を提起することがあります。

そうなると、裁判所から依頼人の自宅に書類が送られてくるので家族に知られるおそれがあります。最初の要求に固執するのではなく、ある程度の時期に合意することが重要になります。

個人再生・自己破産を家族に内緒でできるか

「個人再生」「自己破産」を家族に内緒で行う事は可能ではありますが、とても難しいです。

特に、家族と同居していて、その家族に収入がある場合は難しいです。

これらの手続には裁判所が関与します。裁判所とのやり取りは司法書士が行いますので、突然、裁判所から家に書類が送られてきてバレてしまうという事はありませんが、裁判所に提出する書類の収集、作成段階で家族の協力が必要になる場合があり、秘密にしておくことが難しいです。

裁判所関連

「個人再生」「自己破産」は裁判所主導の債務整理です。

裁判所に関連する事項で周囲にバレるおそれがります。

裁判所からの書類送達

申立後、裁判所から書類が申立人に送られることがあります。差出人が「〇〇地方裁判所」と記載された封筒が家に送られてきて、それを家人が見たら驚くでしょうし、そこからバレることになります。

ただし、事前に書類の送達先を司法書士事務所に指定しておくことで、ご自宅への送付を避けることが可能です。

裁判所へ行く

「裁判所へ行く」というと何か大変なことのようにみえますが、全くそうではありません。

自己破産の申立後、本人が裁判所に行かなければいけない場面があります。

申立時に裁判官による審尋(破産審尋)があるので、裁判所に行くことになります。破産申立にいたった経緯等を聞かれます。
ただし、この審尋は省略されることもあります。

次いで、破産手続きが管財事件になったら裁判所で債権者集会が行われることになるので、裁判所に行かなくていけません。

債権者集会には通常、金融業者は来ません。裁判官に現状を報告することになります。ただし、個人債権者が出席することがあります。

手続き最終段階に裁判官による「免責の審尋」があり、このとき、裁判所で裁判官と面談することになります。「審尋」とありますが、何かを詳しく尋ねるというよりは、破産した場合の注意事項等を説明するような形になります。

個人再生においては、再生委員が就任すると定期的に再生委員事務所で面談が行われることになります。

このように裁判所や再生委員事務所に行くことになるのですが、行く日は平日になるので、家人はもとよりお勤め先にバレないような処置が必要になります。

収入証明の提出

裁判所に収入を証明する書類を提出しなくてはいけません。この場合の書類は給与明細、源泉徴収票等になります。

この証明の提出は申立人だけでなく、配偶者や同居している家族に収入がある場合、この方達の分の提出も必要になります。

家人の証明書をどうやって取得するか?

何かウソを言ってもらう、勝手に探して・・という方もいらっしゃるかもしれませんが、後でその事が分かるとその方との関係に大きくひびが入りかねません。

  • 同居家族に収入がなければ、この点から家族に知られることはありません。

家計簿の作成

家計表を裁判所に提出しなければいけません。収入はもちろん、食費、家賃、日用品購入費、教育費、光熱費、携帯電話代等々の各項目ごとに記録しなければなりません。

提出は月単位の家計表ですが、毎日の収支を記録して集計しなくてはいけません。また、預金通帳の写しの提出も必要です。

ご自身で集計、作成することも可能でしょうが、夫の場合、妻の協力なしでは難しいと言えます。

  • 家計表作成に関して、妻の立場であれば夫には知られずに作成することは可能でしょう。

申立人に財産がある

「個人再生」「自己破産」では、ローン返済中の自動車があれば引き上げられることになります。

また、「自己破産」では、保有できる財産に制限があります。

「自由財産」「自由財産の拡張」に該当する財産は、そのまま保有することができますが、以外の財産があれば処分することになります。

例えば、現在価値20万円を超える自動車を保有していると、当該自動車は処分しなくてはいけなくなるので、家族に説明しなければならなくなります。

家族カードを使っている

債務を整理する方が名義人のクレジットカードで家人が家族カードを使っている場合、当該カード会社に対して債務整理をすると家族カードも使用停止になるのでバレることになります。

回避するには、任意整理手続きを選択して、当該カード会社を整理対象から除外する必要があります。

会社にバレずに債務整理できるか

家族に比べて、会社に債務整理が知られるおそれは低いと言えますが、気を付けなくてはいけない点がいくつかあります。

家族のケースと同様に、裁判所に提出する書類関係で会社に関係することがあり、そこから知られるおそれがあるので注意が必要です。

退職金の算定

個人再生、自己破産では、退職金額の提出が求められます。

会社を辞め既に退職金を受領していれば、その金額を提出すれば良いだけですが、近々辞める予定だったり辞める予定がない場合は、退職金の見込証明書を提出することになります。

この証明書は会社に言えば発行してくれますが、問題は発行してもらう理由です。

何も言わなければ会社を辞めるつもりだと思われるでしょう。住宅ローンの借換等で銀行から提出を求められている等言って発行してもらうことも考えられますが、どこの銀行?などつっこまれてウソがばれることもあるのでリスクがあります。

より安全なのは会社の退職金規定に基づいて自分で計算して提出することです。(退職規定のコピーも提出します)。退職金規定は、雇用契約書や就業規則等に記載されていたりします。

労金、共済、互助会等からの借入

労金等からの借入に対する返済は、給料天引きで行われていることが多いです。

債務整理に着手すると手続きは終了するまで現在行っている返済をストップしますが、これら機関への返済も同様にストップすることになります。

この場合、これら機関から会社へ給料から天引きするのを中止するよう連絡が入ります。そのとき、中止の理由として債務整理のためと伝えられるおそれがあります。

また、会社も、突然、天引き中止の通知があれば何があったかと疑問に思われてしまい、そこからバレるおそれがあります。

会社や組合からの借入

従業員貸付制度等で会社等からお金を借りている場合、「個人再生」「自己破産」をすれば確実に会社にバレます。

会社も債権者なので、裁判所から債務整理の通知がいきます。

回避するには、任意整理手続きを選択して、会社からの貸付を整理対象から除外する必要があります。

会社の取締役である

取締役は、会社と民法で規定されている委任契約をして取締役という職に就いています。

しかし、その民法で自己破産すると委任契約は終了すると規定されています。

よって、取締役に就いている人が自己破産すると、会社との委任契約が強制的に終了し、取締役を退任しなければならなくなり、これにより会社の周りの人に知られるおそれがあります。

絶対バレない・・はありません

以上のように、用心し、バレる可能性を低くすることはできますが、絶対にバレない・・という方法はありません。

個人再生では3回、自己破産では2回の官報(政府の機関誌)に載ります。

官報には、名前、住所が載るので、知人が見れば分かります。しかし、多くの方は今まで官報を見たことがないと思います。コンビニで簡単に買えるものでもありません。私も司法書士になるまで官報を見たことはありませんでした。

名前だけでなく、住所まで掲載されるのかと不安に思われる方も多いと思いますが、官報は毎日発行され、全国の対象者が一同に掲載されるので、自分の名前が目立つ形で掲載されるということではありません。

官報自体を一般の方が見る機会はないので、官報から周囲に知られることはまずないと思います。ただし、見ようと思えば誰でも見ることができる官報に掲載される以上、絶対とは言えません。

ご家族の協力

みなさんいろいろな事情でご家族には知られたくないと思われています。当事務所もご依頼人のご希望に沿うべく最善を尽くしてまいります。

ただし、家族に秘密にして債務整理を行うということは、当然ですが、家族の協力は得られないことを意味します。借金を全て清算し、借金に頼っていた生活を改め、生活を再建していくことは簡単ではありません。

任意整理や個人再生した後に自己破産をするはめに、自己破産した後、また大きな借金をして2回目の自己破産を・・という例もあります。

ご家族に正直に話すことも検討してみて下さい。家族の協力は生活を再建していく上で大きな支えになります。

当事務所にご家族とご一緒にご相談に来られる場合、司法書士が債務整理の流れ、債務整理をしてもご家族には何ら影響ないこと、債務整理は生活を再建していく最善の方法であることを説明させていただきます。