訴訟通知書

金融業者から借金をしていて、返済が遅れると業者から督促が来ます。
以前は、昼夜問わず、自宅や職場に、電話や訪問によって返済督促が行われていましたが、現在は法律でかなり規制されています。

強引な取立は規制の対象となっていますが、どのような取立行為が違反なのかはあまり知られていません。
今は昔のように苛烈な取立が常態化しているような状況ではありませんが、業者によっては貸主と借主という一対一の関係の中で違法な取立が行われるケースもあります。

そこで、ここでは「違法な取立行為」について解説します。

貸金業法での規制

返済を滞納した場合、貸金業者からの返済督促(取立行為)があります。
滞納する事前又は事後に自ら業者に連絡をすることがベストですが、連絡がなければ業者の方から返済督促の通知や電話等がされるでしょう。

返済する約束でお金を借りているので、滞納してしまうと督促(取立)等を受けることは仕方がないことではあります。

しかし、滞納したからといって苛烈な取立行為が許されるものではありません。
今では貸金規業法で規制されているので違法な取立行為をする業者は多くはありませんが、人によっては規制に抵触するような行為をすることがあるかもしれません。
その場合は、しっかり違法であることを伝えることが必要です。

貸金業法(21条)で、貸金業者による威迫、平穏を害するような言動による取立行為を規制しています。
21条では10項目にわたって規制される行為が示されていますが、その中でも行われやすい禁止行為を以下にあげます。

深夜・早朝に電話・ファックス・自宅訪問

返済の滞納が生じると業者は返済督促を行います。
督促行為は業務の一環として正当な行為ですが、無条件でできるわけではありません。

深夜・早朝(不適当と認められる時間帯)に督促のための電話やファックスをしたり、自宅を訪問して直接督促する行為は法律で禁止されています。
ここで言う深夜・早朝とは、午後9時から午前8時の時間帯を指します。

適正な時間に督促電話をしていた業者であっても滞納が続けば、深夜・早朝のように相手が不快に感じる時間帯に敢て電話して返済へのプレッシャーをかけてくることがあるかもしれません。
そのようなときは、深夜早朝の電話は違法であると伝えましょう。

返済の目途が立たない状況であれば、今後もずっと督促を受け続けることになります。
早い段階で司法書士や弁護士に債務整理の相談をして下さい。

勤務先や自宅以外に電話・電報・ファックス、訪問

借入をする際、申込書に勤務先の記入を求められるので、転職していなければ業者に勤務先を把握されています。
嫌がらせのように勤務先に電話することがあるかもしれませんが、このような行為は違法です。
きっぱり、違法であることを伝えましょう。
※携帯や自宅に電話しても一切応答しない、、というような場合は、他に連絡のとりようがないので勤務先へ電話されても違法を主張できない場合もあります。

自宅や勤務先等を訪問され退去するように言ったのに退去しない

適法な訪問であっても、帰ってくれと頼んでも帰らない、返済するまで帰らない、、等と居座るような行為は違法です。

はり紙、立看板等で第三者に借金があることが分かるようにする

映画で主人公が借金とりに追われ、アパートのドアに「借金返せ!」というようなはり紙が貼られているシーンを見たりします。
玄関ドアや壁、塀等にはり紙や看板で借金があることを第三者に知らしめてプレッシャーをかけて返済を迫るような行為は法律で禁止されています。

他から借りさせて返済を迫る

返す金が無かったら他から借りて返せ!
このような取立ももちろん違法です。

配偶者や親・子に返済を迫る

夫の借金の返済を妻に求める、子の借金の返済を親に要求するなど、借りた本人以外にの者に返済を求める行為は禁止されています。
※ただし、保証人になっていたら滞納により保証人として返済を求められることになります。

借りた本人以外の親族等に本人に代わって返済を迫る取立行為は禁止されていますし、もちろん払う必要もありません。

貸金業法21条:取立行為の規制

以下に取立行為を規制している貸金業法第21条を記載しますのでご参考にして下さい。

第二十一条 貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。
  1. 正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。
  2. 債務者等が弁済し、又は連絡し、若しくは連絡を受ける時期を申し出た場合において、その申出が社会通念に照らし相当であると認められないことその他の正当な理由がないのに、前号に規定する内閣府令で定める時間帯以外の時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。
  3. 正当な理由がないのに、債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所を訪問すること。
  4. 債務者等の居宅又は勤務先その他の債務者等を訪問した場所において、債務者等から当該場所から退去すべき旨の意思を示されたにもかかわらず、当該場所から退去しないこと。
  5. はり紙、立看板その他何らの方法をもつてするを問わず、債務者の借入れに関する事実その他債務者等の私生活に関する事実を債務者等以外の者に明らかにすること。
  6. 債務者等に対し、債務者等以外の者からの金銭の借入れその他これに類する方法により貸付けの契約に基づく債務の弁済資金を調達することを要求すること。
  7. 債務者等以外の者に対し、債務者等に代わつて債務を弁済することを要求すること。
  8. 債務者等以外の者が債務者等の居所又は連絡先を知らせることその他の債権の取立てに協力することを拒否している場合において、更に債権の取立てに協力することを要求すること。
  9. 債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。
  10. 債務者等に対し、前各号(第六号を除く。)のいずれかに掲げる言動をすることを告げること。

上記の条文の中に「正当な理由がないのに」という文言があります。
例えば、勤務先に取立の電話をすることは規制されていますが、本人の携帯や自宅の固定電話に何度電話しても応答しない、一切無視してしまうと、業者にとっては現状では連絡のしようがないので勤務先に電話をすることになり、このような場合は「正当な理由」と認められる場合があります。
どんな状況でも上記の規制が適応されるというものではないので、滞納した場合は業者からの適法な連絡には対応(状況を説明して待ってもらう等)する必要があるでしょう。