個人再生や自己破産手続きをする際、退職金についての書類提出が裁判所から求められます。
既に退職して退職金をもらっていれば、退職金ではなく現金・預貯金として取扱います。
退職することが決まっていて退職金は未受領の場合、退職するのは決まっているので退職金額を示した書類を会社からもらい提出することになります。
問題は、退職せずに引き続き勤務する場合です。
退社しなくても、退職金に関する書類を提出しなければいけません。
退職しない場合、退職金見込額の8分の1を裁判所に納付しなければいけないので、そん額を計算するために必要になります。
この場合に提出する書類は、「今、辞めた場合の退職金の見込額」を示す書類になります。
「退職金見込額証明書」を会社にお願いすれば発行してくれるでしょうが、普通、このような事は会社に言いにくいでしょう。
頼めば、理由を聞かれるでしょうし、辞めるつもりかと思われては以後、仕事もやりにくくなります。
勘のいい人には、借金整理のためでは疑われるかもしれません。
何か別の理由(新たにローンを組むので金融機関から求められた等々)を言ってもらうことも考えられますが、いろいろ突っ込まれて聞かれてしまうおそれもあるので、慎重にする必要があります。
そこで、会社に頼まずにご自身で退職金見込額を計算し裁判所に提出する方法を、ここで検討します。
見込額の計算方法
会社から退職金見込額証明書をもらわないとした場合、自分で見込額を計算するしかありません。
しかし、自分勝手に計算式を作成して、それに基づいて算出しても裁判所は認めてくれません。
計算式には何らかの根拠が必要になります。
就業規則による計算
根拠になるものとして、就業規則に記載されている退職金規定があります(就業規則とは切り離されて、別途存在する場合もあります)。
会社の就業規則には、大体、退職金規定として計算方法が記載されているので、その計算式に基づいて退職金見込額を自分で計算します。
会社によって異なりますが、基本給ベースに勤続年数に応じて支給率が定められたりしていることが多いです。
例えば、3 年未満は基本給に1.0を乗じる、3年~10 年は3.0、11 年~15 年は5.0、、、のように規定されていたら、現在の基本給に自身の勤続年数に応じた係数を乗じて算出します。
この計算書(計算式と金額)と根拠として就業規則の退職金規定の部分を裁判所に提出します。
退職金が出ない場合
退職金がない場合も、退職金がないことを証する書類が必要になります。
会社に退職金規定がないことを証する証明書を作成してもらえれば一番簡単ですが、そのような依頼はしにくいものです。
そこで、裁判所には退職金が規定されていない就業規則や雇用契約書等を提出することで認めてもらうようにします。
処分の対象とならない退職金の種類
最近は、退職金制度として共済制度による退職金(中小企業退職共済制度による退職金等)や確定拠出年金制度を利用している会社も多くあります。
これらのお金は、退職金として受領しても対象とならないので、見込額を提出する必要はありません。