携帯電話と債務整理

債務整理のご相談の際、携帯電話が使えなくなるのか心配される方が多いです。
今や、携帯電話は生活に欠かせないものであり、使用できなくなると生活に大きく影響してしまいます。

ここでは、債務整理と携帯電話についてご説明します。

携帯電話の使用について

債務整理の手続を始めると、金融会社やカード会社が加盟している信用情報機関に事故登録されます。
これが、いわゆる「ブラックリスト」と言われるものです。

「個人再生」「自己破産」は全ての債権者を整理対象としなければいけないので、手続き開始と同時に事故登録され、キャッシングカードやクレジットカードは使用できなくなります。

「任意整理」は整理する対象を選択できるので、対象としたカードは使えなくなりますが、対象外のカードは一定期間は使用できる場合があります。

この点を踏まえて、債務整理で携帯電話が使用できなくなるケースとして以下のようなケースが考えられます。

  1. クレジットカードで電話料金を支払っている場合、当該クレジットカードを債務整理の対象としたために当該カードは使用不能となり電話料金の支払がストップし、滞納により解約されて使用できなくなる。
  2. 銀行カードでのキャッキングを債務整理の対象としたため、当該銀行の預金口座が凍結され口座から電話料金の自動引き落としができなくなり同様に使えなくなる。
  3. 電話料金、機種代(分割払い)を滞納していて、滞納額を債務整理の対象とした。

1,2に関しては、電話料金の支払い方法を変えて滞納することなく支払いを続ければ、解約されることもなく携帯電話を使用し続けることができます。

電話代の支払いに使っているクレジットカード(※1)を任意整理の対象から外したり、銀行口座を変更、現金での支払いに変更して支払いを継続すれば、解約されることはないでしょう。
※1:カード会社によっては事故登録されたことを知った時点で、使用停止措置をとることがあります。

電話料金・機種代を滞納している

3に関しては、債務整理によって料金が減額されたり、返済が免責されることになり、通信会社が損害を被ることになるので、強制的に解約されるおそれがあります。
「任意整理」を選択して電話料金・機種代を整理対象から外し、返済して滞納を解消すれば解約されることはないでしょう。

整理方法が「個人再生」「自己破産」の場合は問題があります。
この手続きでは、全ての債権を対象としなければいけないので、滞納している電話料金や機種代も対象となります。

先に述べたように、損害を受ける通信会社が強制的に解約し、携帯電話は使用できなくなるでしょう。

これを避けるために、手続き開始前に電話料金の滞納分だけを返済しておこうと考える方もおられますが、整理手続きにおいて債権者は平等に扱うことが決められており、他の債権者を差し置いて、通信会社だけに滞納額を返済すると、特定の債権者を優遇したとして偏頗弁済となり手続きができなくなる(不許可)おそれがあります。

このような場合は、滞納分は親族等の第三者に支払ってもらう等の対処が必要です。

※電話料金滞納を整理対象とし、債務者が主体で電話会社と家族プラン等の契約をしている場合、契約内容によっては家族の携帯電話も解約されるおそれがあります。

通信会社・機種の変更

電話料金・機種代の滞納がなければ、債務整理しても通信会社(キャリア)を乗り換えることは可能ですが、機種代については分割ではなく一括での支払いが必要になる場合があります。

自己破産や個人再生後は、一定期間ローンを組みむことができないので、機種代は一括で支払うことになります。

滞納をしている場合は、難しくなります。
自己破産や個人再生、滞納額を整理対象とする任意整理をすると、通信業者の団体である情報機関に事故登録がされます。

この情報は他の通信会社と共有されているので、新しい通信会社に乗り換えようとしても、事故登録を理由に契約を拒否されるおそれがあります。

料金の安い通信会社に変更したいというような場合は、滞納を解消するか、滞納を整理対象から外して債務整理することなります。

※滞納していても解約される前であれば、他の通信会社に乗り換えができる場合があります。滞納が事故登録されるのは解約後とされていますので、解約前であれば滞納状態であることを他の通信会社が知ることは難しいので、契約できる可能性があります。