カードローン

自己破産により返済の不安から解放されます。落ち着いた平穏な日々を取り戻すことができます。

しかし、「自己破産」という言葉の響きに抵抗感を感じ、また、社会活動も大きく制限されるのではないかと心配され、自己破産をちゅうちょされてる方もおられます。

自己破産をすると、その後の生活にどう影響するか司法書士が解説します。

手続き中の制約

自己破産手続き中は、特定の職業に就けないという制限があります。
また、手続き中に破産審尋、免責審尋という裁判官による面談があります。
指定された日(平日になります)に裁判所に行かなければいけないので時間的制約を受けることになります。

自己破産には「同時廃止」「管財事件」の2種類の方法があります。
上記の制限は2種類共通ですが、「管財事件」になると更に別の制限が加わります。

「管財事件」になると、破産審尋、免責審尋に加えて債権者集会への出席と管財人との面談が増えます。
いずれも平日に行われるので、仕事をされている方にとっては時間調整が難しくなってしまいます。
また、「管財事件」には日常生活に関しても以下のような制限を受けることになります。
・移動の制限
・郵便受取制限

職業制限

自己破産には手続き期間中、特定の職業に就くことができないとする規定があります。
弁護士・司法書士・税理士等の士業、宅地建物取引主任者、警備員、質屋を営む者、旅行業務取扱管理者、生命保険募集人(生命保険外交員)、風俗営業者が該当します。公務員は該当しません。

現在その職業に就いている場合は、手続き期間中はその職から離れなければいけなくなります。
裁判所から会社に自己破産の通知がされることもないので、実際はそのまま会社に隠して働いておられる方も多いようですが、会社によっては(警備会社等)官報公告に記載されている破産者名をチェックしているところもあるようです。

また、職業制限ではありませんが、会社の取締役をしている方が自己破産すると、民法の規定により会社と取締役間の委任契約が自動的に終了することになるので取締役を退任しなければいけません(退任登記が必要)。
ただし、退任後、自己破産手続中の方でも再度、取締役に就任することは可能です。
自身の経済的管理ができず自己破産した人が会社から委任を受けて経営陣として取締役をしているのは不適格として、民法により委任契約は終了しますが、それでもなおその人を取締役として会社が望むのならご自由にということになります。

移動の制限

管財事件での自己破産手続き中、引っ越しして居住場所を変えることに制限がかかります。
引っ越しできないということではありませんが、引っ越しする場合、事前に裁判所の許可を得なければいけないという面倒な状況になります。
「移動」には居住地の変更だけでなく「旅行」「出張」も含まれます。 
基本的に2泊以上を伴う移動には裁判所の許可が必要になります。

郵便受取制限

管財事件ではもう一つ、郵便物の受取りに関して制限を受けることになります。
この制限が日常生活に大きな影響を与えるでしょう。
基本的に破産申立人宛の郵便物は、全て管財人へ転送されます。
管財人が郵便物をチェックした後に申立人に渡すことになります。通常、定期的に行われる管財人との面談時に渡されます。

手続き後の制約

手続き後は、上記の手続き中の制約は一切ありません。
法的な規制はなくなりますが、金融機関による制限を受けることになります。

クレジットカード制限

自己破産した後一定期間、クレジットカードを発行してもらえません。
クレジットカードは現金がなくても買い物ができてしまうので、カード会社も簡単には発行してくれません。

どのくらいの期間発行してくれないかは、カード会社によります。
クレジットカード会社が加盟する信用情報機関では、破産後5年以内の期間は自己破産した記録を残しています。

登録期間の最大5年を過ぎれば、多くの会社は新たなカードを発行してくれるでしょう。
※中には独自基準で3,4年で発行するところもあれば、5年過ぎても発行しない会社もあります。

カードローン

消費者金融や銀行が発行する借入カードも破産後の一定期間は発行してもらえません。

消費者金融が加盟する信用情報機関では破産後5年、銀行が加盟する信用情報機関では10年、自己破産が登録されています。
各会社とも独自の基準で発行の審査を行いますが、早くても5年位は再発行は厳しいです。
また、10年の登録期間からみて消費者金融より銀行カードの方が審査は厳しいと言えます。

住宅ローン

住宅ローンは借入金額も大きく、期間も長いので審査は上記よりも一層厳しくなります。
少なくとも信用情報機関に登録されている間は、収入状況が大きく改善等されていないと難しいと言えます。

期間経過により信用情報機関の事故登録が抹消されたとしても、自己破産の債権者であった会社は自己破産の記録を保有しています。
銀行カードを自己破産した場合、10年経過で銀行系信用情報機関から自己破産記録が抹消されても、当該銀行の住宅ローンを利用する際の審査は厳しいものとなることが予想されます。

収入環境を改善し経済的信用を上げ、頭金も出来るだけ多くするような事前準備をしておけば、住宅ローンの審査に通りやすくなるのではと思われます。

各種ローン

その他のローンで生活に関連するものとしては、自動車ローンと携帯電話ローンがあります。

とくに携帯電話ローンについては注意が必要です。
機種変更として新しい携帯電話に交換する場合、機種代は毎月に通信費に上乗せされて分割で支払うことになります。
分割支払いになるのでローン審査が行われ、信用情報機関に事故登録されている間は審査が通らないおそれが高いです。

まとめ

自己破産をした後の制限は、経済活動に関する制限になります。
カードが再発行されるまでは、常に現金での買い物、取引となります。
自己破産後はローンを組むような大きな買い物ができる状態でもないと思われますので、カードがないことで日常生活に大きな影響がでることにはないでしょう。

カードが再発行されたのちは、滞納することなく支払いを行うことで信用力を上げていきましょう。
それにより、自動車ローンや住宅ローンなどの高額なローンの審査も通りやすくなっていきます。