福岡地裁では、預貯金や保険の解約返戻金等のうち、どれかが20万円を超えたら、または現金預金の額が33万円を超えていたら、基本的に管財事件として取り扱うようになっています。

これは、資産となっている金額的を基準に、20万円を超える資産を持っていたら管財事件として扱うとしています。

しかし、管財事件にするかどうかの判断は、資産面だけではありません。

申立人は自己破産に至るまでの経緯、状況を鑑みて管財事件とされる場合もあります。

この点は、担当する裁判官の認識に基づく判断になるので、「この場合は管財事件」というように明示できませんが、いわゆる、管財事件になりそうな、なるかもしれないという観点からご説明します。

管財事件になりそうな要因

いくつかのパターンに分けて、裁判官は何を見ているのか、何を問題視しているのかを検討していきます。

免責不許可事由

自己破産には、免責不許可事由が法律で規定されています。

規定された事由に該当する行為していない場合に返済義務の免責を許可する、と条文で規定されていますので、該当する行為をしていれば免責は許可されない、と読めます。

しかし、実際は、裁判官の裁量(判断)で該当する行為をしていても多くは許可されます。

この場合、裁判官としては、不許可事由があるにもかかわらず許可を出す上で、不許可事由の内容を管財人を就けてしっかり調べようと判断して管財事件とすることがあります。

不許可事由に該当することがあれば必ず管財人を就ける、ということではありませんが、例えば、収入に対して浪費の金額が多い、頻繁にクレジットカードを使て高額な換金行為をしている、破産申立前の短期間で高額な借入をしている等々、裁判官から見てどうなの?というケースに、管財事件にしてしっかり調べる、ということになります。

資産等調査

いわゆる、資産隠しが疑われるようなケースになります。

申立の際に提出された預貯金通帳等々からお金の流れを見て、財産目録に記載されている資産以外に他にも資産があるのではないか、隠されているのではないか、と判断さえた場合、その調査にために管財事件になります。

否認対象行為調査

申立人の資産は適切に管理され債権者への返済に充当されなければいけません。

しかし、申立て前に資産を不相当に処分していたり、一部の債権者だけに返済をしていたような行為は、他の債権者を害する行為であり、債権者平等の原則に反します。

このような行為は、管財人によって否認することができるので、そのような行為が疑われる場合は管財事件となります。

個人事業主・法人の代表者

個人で事業をされている方が自己破産する場合、基本的に管財事件になりやすいですし、基本的になると考えていた法がよいでしょう。

事業、仕事をされているので、帳簿等や資産、売掛金等々の調査が必要になるので、多くは管財事件となります。

まとめ

管財事件で預金等規定されている資産が20万円を超えると管財事件になるとご説明しましたが、それは20万円以下であればならない、という意味ではありません。

裁判官の判断ですので、20万円以下でも管財事件になる可能性はあります。

ただし、管財事件になると約20万円の予納金(管財人への報酬)が発生します。

基本的にこの予納金は管財事件と決まった後に一括で納付しなければいけないので(分割が認められる場合もあり)、資産が20万円以下のケースで管財事件とすることは多くはありません。

管財事件になれば約20万円の負担増となるので、上記に説明したような行為はしないようにしておきましょう。