自己破産の申立は、決めてすぐに、依頼したらすぐにできるものではありません。
申立にはいろいろな準備が必要で、2~3ヶ月位準備期間が必要になります。
いろいろなことを調べたり、必要な書類の取得に時間がかかるためです。
提出する書類の内容は各地方裁判所で若干異なります。
ここでは、福岡地方裁判所の運用をもとに説明します。
自己破産に必要な書類
福岡地方裁判所では、自己破産の申立をする際、所定の申立書の他に以下の書類の提出を求めれます。
- 住民票
- 預貯金通帳・証書
- 所得証明書
- 給与明細書
- 退職金見込額証明書
- 無資産証明書
上記は、仕事をしていて定期的な給与をもらっている人のケースになります。
人によっては上記以外の書類も必要になります。
住民票
世帯全員が記載されているもので、本籍地の記載が省略されていないものが必要になります。
また、住民票は発行後3ヶ月以内でなければいけません。
預貯金通帳・証書
申立人名義の通帳のコピーを提出します。
過去1年以内の取引履歴が記載されている必要があります。
コピーする部分は、通帳の表紙、表紙の裏部分(支店名、契約内容等が記載されている部分)、取引履歴部分です。
定期預金や貯蓄預金部分も必要で、取引がなくても記帳部分の1ページ目のコピーが必要です。
また、申立2週間以内に記帳しておかなければならなく、最後の記帳年月日を取引履歴の最後のページの余白に記入します。
通帳がない、一括記帳されている
通帳を紛失、破棄していたり、過去1年以内の記録に一括記帳がある場合、通帳を発行している銀行から取引明細書を発行してもらい提出します。
所得証明書
基礎控除や配偶者控除等の控除欄の記載がある所得証明書を市区町村役場に交付してもらい提出します。
所得証明書は、収入のある同居の親族のものも必要になります。
※同居の配偶者・直系の親子の所得証明書は申立人によって取得できます。以外の者の証明書は、当人の委任状が必要になります。
給与明細書
申立人については、申立直近3ヶ月分、同居の親族は1ヶ月分の給与明細書を提出します。
退職金見込額証明書
勤め人で退職予定の方はその額を、退職されずに引き続き勤務される方は仮に今退職した場合の退職金見込額を証する書類を提出します。
勤務先からもらったり、自身で就業規則に記載されている退職金規定に基づいて計算して作成します。
既に退職金を受給している場合は、その金額が分かる書類を提出します。
※勤務期間が5年未満の方、パート、アルバイトの方は提出不要です。
無資産証明書
申立人が不動産を所有していない証明として、無資産証明書を提出します。
無資産証明書は、市区町村長で取得できます。
また、同居の配偶者、成人の親族のものも必要です。
※同居の配偶者・直系の親子の無資産証明書は申立人によって取得できます。以外の者の証明書は、当人の委任状が必要になります。
債務額が分かる書類
現在の債務額(元金・利息・遅延損害金の合計)が分かる書類(請求書、領収書、残高証明書等)のコピーを提出します。
その他の書類
以上が給与所得者の基本的な提出書類になります。
この他に、申立人の状況によって以下の書類が必要になります。
生活保護受給証明書
本人や配偶者(内縁関係含む)、同居の成人親族が生活保護を受給している場合、その受給証明書のコピーを提出します。
年金受給証明書
本人や配偶者(内縁関係含む)、同居の成人親族が年金を受給している場合、その受給証明書のコピーを提出します。
金銭消費貸借契約書等
申立人が誰かにお金を貸している、保証人として返済したことがある、賃貸で敷金を払っている等の場合、それに関する書類を提出します。
積立額・貯蓄額の証明書
申立人が社内積立や住宅財形貯蓄、年金財形貯蓄、冠婚葬祭等の互助会積立をしている場合、その額を証明する書類を提出します。
保険(共済)証券
生命保険だけでなく加入している全ての保険(学資保険、傷害保険、火災保険、自動車保険等々)の保険証券のコピーを提出します。
解約返戻金見込額を証する書類
生命保険だけでなく加入している全ての保険で、解約したら戻ってくる金額(解約返戻金)が分かる書類(保険会社作成)のコピーを提出します。
また、過去1年以内に解約又は失効した保険の返戻金を受領していた場合は、その金額が分かる保険会社作成の書面のコピーを提出します。
ただし、保険契約締結から3年未満の場合は、提出不要。
車検証
申立人、配偶者、同居の親族が自動車を所有・使用している場合、車検証のコピーを提出します。
自動車査定書
所有している自動車の取引価格が分かる査定書(業者作成)のコピーを提出します。
自動車の買取業者や財団法人日本自動車査定協会に査定を依頼します。
※5年落ちの車(初年度登録から5年経過している車、一部除外車あり)は基本的に不要です。
ローンが残っている自動車の残債額証書
申立人が自動車をローンで購入してまだ完済していない場合、自動車の所有権はローン会社にあります。
ローン会社から残債務額が分かる書類を取得し、そのコピーを提出します。
※5年落ちの車(初年度登録から5年経過している車(一部除外車あり)は基本的に不要です。
賃貸借契約書
賃貸住宅に住んでいる場合、賃貸契約書のコピーを提出します。
※配偶者や同居人が契約者であっても提出します。
土地・建物の賃貸借契約書
申立人、配偶者(内縁含む)が住居以外に土地(駐車場等)や建物の賃貸借契約をしている場合、当該賃貸借契約書のコピーを提出します。
同居証明書
申立人が住民票記載の住所以外に住んでいる場合、その住所の世帯主が作成した申立人を同居させている旨の証明書と提出します。
判決・訴状・支払督促・和解調書・調停調書・差押決定正本等
申立人に対してして既に上記の様な法的措置が取られている場合は、送付された書類を提出します。
滞納処分差押通知
税金を長期に滞納していると、税務署より滞納処分による差押通知が送付されることがあります。
通知書が送付されている場合は、その通知書のコピーを提出します。
不動産を所有している場合
申立人や配偶者、同居の親族が不動産を所有している場合、以下の書類が必要になります。
登記事項証明書(登記簿謄本)
申立人、配偶者(内縁含む、離婚1年未満の元配偶者・内縁者含む)や同居の成人親族が不動産を所有いている場合は、当該不動産の登記事項証明書を提出します。
固定資産評価証明書
申立人所有(共有含む)の不動産の固定資産評価証明書を提出します。
(根)抵当権の残債務額を示す書類
申立人が所有する不動産に(根)抵当権が設定されている場合、被担保債権額の残額を示す書類を(根)抵当権者である金融機関から取得して提出します。
※残額が固定資産評価額の1.3倍の超えない場合、当該不動産の取引額が分かる不動産業者等作成の査定表の提出が必要になります。
競売開始決定正本・期間入札通知書・配当期日呼出状
既に申立人所有の不動産に競売手続が開始されている場合、裁判所から送付された競売開始決定正本、期間入札通知書、配当期日呼出状等のコピーを提出します。
不動産の売却した場合の関連書類
過去2年以内に、申立人名義の不動産(土地・建物)を売却していた場合、売却に関連する書類として売買契約書、登記事項証明書、領収書等のコピーを提出します。
相続関連書類
申立人が相続人である場合は、以下の書類の提出が必要になります。
遺産分割協議書
申立人に過去2年以内に相続人となり遺産分割協議をしている場合は、当該協議書のコピーを提出します。
遺産分割協議をせずに相続放棄をしている場合は、相続放棄申述受理証明書を提出します。
戸籍謄本、被相続人の除籍謄本
申立人に過去、相続人となったのに遺産分割協議をしていない場合、申立人の戸籍謄本、被相続人の除籍謄本を提出します。
過去3年以内に事業をされていた方は、元帳(又は金銭出納帳)、確定申告書(3期分)、決算書(又は、貸借対照表・損益計算書)、事業等に関する補充説明書を提出します。