学生の債務整理

成年年齢が18歳になり、消費者金融等にとっては大学、専門学校に進学する方や就職する方に金銭を貸しやすい状況になっています。

成年年齢が20歳の時は、18、19歳の学生や新社会人にお金を貸しても未成年者取消権を行使されて無効にされるおそれがあったので、この年齢の若者にお金を貸すことに積極的ではありませんでした。

しかし、成年年齢改正後は未成年取消権の心配がなくなったので、学生ローンとして18、19歳でもお金が借りやすい状況になっています。

また、クレジットカードを使っての分割やリボ払いでの買い物も容易になっています。

借入の返済やクレジットカード利用料金の支払いのためにアルバイトの比率を高くしてしまうと、学業にも影響が出ることから返済が厳しい状態に陥ってしまうかもしれません。

このような状況なってしまったら、影響をできる限り小さくするためにも早急に債務整理をすることが大切です。

ここでは、学生が債務整理をする上での注意ポイントについて説明します。

学生の債務整理方法

学生であっても18歳以上であれば成人なので、債務整理も「任意整理」「個人再生」「自己破産」のいずれの方法も選択可能です。

債務整理をしたことで、債権者から親に連絡がいくということは基本的にありません(親が保証人になっている場合は連絡がいきます)。

消費者金融から借入している場合もありますが、クレジットカードの利用、特にリボ払いの利用で次第に返済負担が大きくなり滞納に陥ってしまうケースも多いようです。

※リボ払いは毎月の返済額が分かるので便利ではありますが、私としてはできれば利用せずに自身の返済能力を考えて一括か数回程度の分割返済にする方が良いと思っています。(リボ払いの危険性の詳細はこちら

債務整理方法の選択

債務整理の選択は金額にもよりますが、学生という立場を考慮すると以下の理由により任意整理が第一候補になります。

任意整理手続きの詳細はこちら

  • 学業に影響することなく、全てを任せることができる。
  • 親や友人等、周りに知られる可能性が一番低い。
  • 夏休み等の長期の休みにバイトに集中して返済できる。

全てを任せられる

任意整理は、債権者との交渉はすべて依頼した司法書士や弁護士が行うので、当人は一切何もする必要がありません。

個人再生や自己破産では、自身で書類を取得しなければいけないものもあり、また申立書を作成する上で借金をした経緯やその時の状況等について司法書士や弁護士と打ち合わせする必要もあるので、それなりの時間がとられます。

任意整理ではそのようなことがないので、司法書士から交渉の経過や結果を聞き、最終的に合意した内容で返済を再開するだけで、手続きにおいて時間的に学業やアルバイトに影響するようなことはありません。

周りに知られない

任意整理は、他の整理方法と比べて周りにバレる可能性が一番低いと言えます。

個人再生や自己破産では、手続きにおいて「官報」(政府が発行する公報)に住所と名前が記載されますが、任意整理ではそのようなことはありません。

※官報に氏名が記載されたとしても、そもそも一般の方は官報を見ることはないので、官報掲載で自己破産等が周囲にバレる可能性はかなり低いです。

親と同居している場合は、個人再生や自己破産だと親の給与明細や家計表が必要になり、親に内緒でそれらの書類を取得することは難しいですが、任意整理だとそのような書類は必要ありません。

返済のためのバイト

任意整理は、手続き後に返済が再開されます。

親等の親族に手助けしてもらえれば良いですが、そうでなければ自身でアルバイトをして返済することになります。

しかし、返済のためにアルバイトばかりなってしまうと学業にも影響が出ます。

返済に専念するために休学することも一つの方法ではありますが、そのような方法はできる限り避けたいところです。

そこで、任意整理では返済を再開する時期を数か月遅らせる交渉ができます。

もちろん債権者にもよりますが、債権者の中には合意した時から返済再開時期を1,2カ月程度遅らせることを了承してくれる場合があります。

休みの期間が長い夏休みや春休み前に任意整理を行い、長期休みの間に集中的にアルバイトをしてその給料が出た後に返済を再開するように債権者と合意できれば、学業への影響も抑えることができます。

注意するポイント

任意整理を選択した場合でも注意すべき点があります。

クレジットカード利用不可

債務整理をするとクレジットカードが使えなくなります。

任意整理で整理する対象を限定すれば、対象外のクレジットカードがすぐに利用停止になることはないでしょうが、各クレジットカード会社が加盟している信用情報機関に事故登録されるので、いずれ対象外のクレジットカード会社にも知られることになり、利用停止や更新拒否により利用できなくなる可能性が高いです。

そのため、クレジットカードで決済しているものがあれば(水道光熱費、家賃、携帯料金等々)、事前に振込等に変更する必要があります。

就職への影響

学生であれば就職活動が控えています。

就職への影響が心配だと思いますが、債務整理は個人情報であり信用情報機関に記録された情報が全然関係のない会社に流出することはまずないので、その点は心配はないと思います。

ただし、金融機関への就職を希望されている学生であれば、慎重になった方が良いかもしれません。

信用情報機関に記録されている情報を採用時の身分調査のように目的外に使用することは禁止されています。

しかし、どこまで遵守されているかの疑問もあります。

また、例えば銀行カードで借金を債務整理した後に当該銀行へ就職活動するような場合でも、全く影響ないかというと、分かりませんとしか言えません。

金融機関に就職を希望しているのであれば、債務整理自体を慎重に考えそれ以外の方法も検討する必要があるでしょう。

まとめ

以上のように、学生の方に負担が軽く最適な債務整理方法は、任意整理と言えます。

しかし、借金額が多く現状の収入(アルバイト代)では到底返済できない状況であれば、任意整理をすることはできず、時間的に負担の大きい個人再生や自己破産を選択するしかなくなります。

よって、任意整理をするには、いかに早く、借金が大きく膨らまないうちに専門家に相談するかが大切になります。

債務整理費用が心配の方は法テラスを利用することができます。

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お困りの方、心配な方は、ちゅうちすることなくできるだけ早く専門家に相談しましょう。