借金のご相談を受ける際、自ら自己破産をお願いします、と言われる方もおられれば、自己破産だけ避けたい、と言われる方もおられます。
「自己破産」をすると自分のこれからの人生に大きなマイナス影響がでるんではないか、と心配されるものも当然です。
ここでは、自己破産したら、その後生活する上でどのような影響があるかをご説明します。
全く影響がない、ということはありません。
制約を受けることはありますが、どのような影響がでるかを正しく知ることは、自己破産をけんとうする上で大切です。
自己破産後の影響
自己破産をすると、お金で失敗しているのでお金に関して制約を受けることになります。
借りたお金を返済できなかったので、お金を借りる行為に対して制約を受けます。
しかし、その他の、例えば、就職※1、進学、入院、入居(賃貸)※2、入院、保険、年金等々で制度的に影響を受けることはありません。
※1.手続き中は就業できない職種(警備員等)がありますが、手続きが終了すると制限はなくなります。
※2.家賃保証や家賃支払いにクレジットカードを指定等された場合、カードは使えないので入居できないおそれがあります。
財産
自己破産手続きにおいては基本的に総額99万円以上(財産の内容ごとに上限あり)の財産を持つことは認められていませんが、自己破産後は何の制約もありません。
自動車を買おうが、土地を買おうが自由です。
ただし、ローンは使えないので現金購入しかなく簡単ではないでしょう。
制限されること
お金を借りる、物を分割で購入する、これらの行為が制限されます。
制限とは、「一定期間できない」ことになります。
自己破産による、いわゆる「ブラックリスト」に登録されることになります。
正確には銀行や消費者金融、クレジットカード会社等が加盟する各種信用情報機関に事故登録されます。
登録されている間は、基本的に銀行(※3)や消費者金融から借入・ローン、クレジットカードの利用はできません。
全て現金で購入することになります。
※3.銀行口座は基本的に利用できます。銀行カードで借入をして自己破産をした場合、その銀行の口座は凍結されますが、保証会社から代位弁済されたら凍結は解除され利用することができます。
入居審査
家賃を滞納していなければ、今住んでいる賃貸を自己破産したとしても追い出されることはありません。
しかし、転居する場合は注意が必要です。
入居する際は、賃貸人(管理会社)による審査、保証会社による審査があります。
賃貸人や管理会社は、先の信用情報機関に登録していませんので自己破産したことは分からないでしょうから、一定の収入があれば問題ないと思われますが、家賃支払いをクレジットカードに指定されり、クレジット系の家賃保証会社を利用すると信用情報機関を通して自己破産したことは分かるので、審査を通らないおそれがあります。
この場合は、クレジット系以外の保証会社を利用できる物件を探すことになります。
携帯電話の機種変更
多くの方は、携帯電話の機種を変更する場合、月々の電話料金に分割した携帯機種代を上乗せして返済します。
これも、機種代のローン(分割返済)になるので、自己破産をすると利用できません。
機種を変更する場合は、現金で一括支払いになります。
保証人
個人間は別として、金融機関からの借入に対して保証人になることはできません。
奨学金の保証人も同様になれません。
生活保護費
生活保護を受給されている方が、自己破産した場合でも保護が打ち切りになることはありません。
※保護費は生活するために費用なので、保護費で借金の返済をすることはできません。
公的な事項
自己破産によって、投票権が制限されたり、自己破産が戸籍に記載されたるすることはありません。※4
※4.自己破産の開始が決定されるの役所にある破産者名簿に記載される場合があります。しかし、記載されたとしても、破産が許可されると名簿から抹消されます。ただし、不許可になると記載されたままになりますが、10 年経過で抹消、または個人再生をすれば抹消されます。