自己破産

自己破産の影響

自己破産手続が裁判所で完了(免責許可確定)したら、借金は全額返済免除になりますが、自己破産したことによって影響がでる場合があります。

自己破産手続を開始する場合、これらの影響も事前に考慮した上ですすめることになります。

免責許可決定の効果

非免責債権は初めから免責の対象となりませんが、免責債権は免責許可決定確定で返済義務を免除されます。

免除される債権は、手続きにおいて提出する債権者一覧表に従って決定されるので、提出する債権者一覧表には全ての債権者及びその額を記載することになります。

ただし、自己破産申立人の多くは多重債務状態になっており、どこから、いくら借りているか全部を正確に把握していないことが多いです。

我々司法書士が債権者一覧表を作成する際、とくに申告モレがないように注意を払います。

申立人の記憶をベースに手元にある書類、振込票、送られてきたハガキ等の書類を全部提出してもらいます。

また、預金通帳の取引履歴から、自動引き落としがないか、振込の記録がないか等もチェックします。

このように最善を尽くして調査しても、記録をつかめなくて漏れるおそれもあります。

手続きの途中で判明すれば、裁判所に追加で提出することができますが、分からないまま免責許可決定が確定し、その後に漏れていた債権が判明した場合、その債権は免責されません。

債権者一覧表に記載していない、記載されていない債権は免責の対象にならないので、自己破産したにもかかわらず返済しなければいけなくなります。

連帯保証人・物上保証人への影響

残念ながら債務者本人に自己破産が成立しても、その効果は連帯保証人や物上保証人(※1)に及びません。

通常、債務者が自己破産した場合、債権者は連帯保証人や物上保証人に一括返済を請求します。

返済できない場合は、連帯保証人に対して差押え、物上保証人に対しては抵当権に基づく競売申立がなされることになります。

このように連帯保証人や物上保証人がいる場合、その方たちにも債務整理が必要になる場合があります。

※1.債務者の借入に対して不動産を担保に提供している第三者のことを物上保証人と言います。
典型例として、親が自分名義の土地に子の借金の担保として抵当権を設定するケースです。

免責不許可になってしまったら

免責不許可率はかなり低いのですが0ではありません。

もし、不許可になった場合、破産債権は全て(破産手続において配当された債権は除く)そのままで、返済義務は継続します。

債務者としては、返済困難な状態にあることには変わりないので、任意整理や個人再生等の方法で債務整理を検討することになります。

債権者としては、多くの場合、破産手続開始決定が出た時点で損金処理をしているので、その後に免責不許可になっても返済請求や督促をしてくる可能性は低いです。

ただし、個人の債権者や損金処理をしていない債権者は、返済請求、督促を再開しますので、早急に新たな債務整理手続きが必要になるでしょう。