自己破産

自己破産をすると、原則として主だった財産は残せません。

借金を全部チャラにするので、換金できる財産があれば換金して返済に充当することが求められます。

もちろん、全財産を取り上げたら明日から生活できなくなるので、一定の財産は残せることになっています。

残せる財産の詳細はこちらを参照ください

残せる財産に該当しないものは、基本的に管財人によって破産財団に組み込まれ、手続き費用や返済に充当されます。

しかし、中には、どうしても残したい財産もあります。

この場合、どうするか?

隠す、申告しない、破産申立前に名義を変えておく、、、

これらは、最悪な対応です。

破産申立て後に裁判所にバレる可能性が高く、バレると破産ができなくなり、最悪詐欺破産罪に問われるおそれもあるので、絶対にやってはいけません。

では、諦めるしかないのか、、、

ここでは、どうしても残したい財産がある場合の対応についてご説明します。

自己破産手続きで財産を残す

過去、自己破産手続きをお手伝いした中で、「これは残しておきたい」と希望されるものとして多いのは、「保険」と「自動車」です。

保険と自動車の保持

裁判所所所定の自己破産申立書に、契約している保険、所有している自動車を記載し、保険証書や車検証を添付して提出しなければいけません。

保険については、保険の種類を問わず全ての保険を記載します。

自動車は申立人所有のものだけでなく、配偶者や同居人所有の自動車も申告の対象になります。

保険や自動車に一定の価値があれば、それを没収して換金し手続き費用や返済に充当するために、このような申告が求めらています。

※家族名義の自動車は没収の対象になりませんが、名義は家族でも実質的に申立人が所有している場合は、対象になる可能性があります。

没収の基準となる額は「20万円」です。

保険の解約返戻金が20万円を、自動車の査定額が20万円を超えると、基本的に没収となり手元に残すことはできません。

※複数の保険に加入している場合、一つの保険ではなく全部の保険の返戻金の合計が20万円を超えれば、全部の保険が解約の対象になります。
掛け捨ては基本的に返戻金がないので、解約の対象にはなりません。

※申立人が初年度登録して5年以内の自動車、2500cc以上の自動車、外国車は査定書を提出しなければいけません。5年を経過している自動車は、外国車やハイブリッド車等の高価なものを除き、基本的に査定書の提出は不要で保持することができます。

しかし、20万円を超えて没収の対象になっても、諸事情により保持していと希望される方もおられます。

自分に何かあった時に家族が困らないように入った保険、生活・仕事上、手放せない自動車であれば、残しておきたいと希望されるのも理解できます。

何もしなければ、没収されることになりますが、適切な対応をすることで保持できる場合もあります。

保持する方法

維持するには、2っの方法があります。

一つは、「自由財産の拡張」 の申立てをする。

もう一つは、没収される保険や自動車に相当する額を別途拠出する。

自由財産の拡張

破産申立人の保持する財産の総額が99万円以内であれば、裁判所に申立てをすれば保持できる場合があります。

これを「自由財産の拡張」と言います。

※「自由財産」とは、破産申立をしても生活のため保持できるとされている財産。
自由財産の詳細はこちらを参照ください

保険の返戻金や自動車の査定額が20万円を超えていても、他の財産を合わせて総額が99万円以内であれば、自由財産の拡張の申立により認められる可能性があります。

「可能性」と書いたのは、申立をすれば必ず認められる、というものではないからです。

あくまでも裁判所の判断(拡張の申立てが申立人が生活する上で必要かどうかの判断)によります。

※当所でも過去、管財人には認められたが裁判所からは難色を示されたケースがあります。その後、再度、上申書を提出して最終的には認められました。

自由財産の拡張は、破産申立人の生活に支障をきたさないようにするために必要、と管財人や裁判所に認めてもらわなければいけません。

拡張の上申書を管財人や裁判所に提出しますが、対象物が没収されると申立人の生活にどのような悪影響を及ぼすかを説明することが重要になります。

相当額を拠出

保険の解約返戻金や自動車の査定額が20万円を超える場合、それに相当する額を現金で別途支払うことで没収を回避できる場合があります。

自己破産において、手持金(現金)として最大99万円まで保持することができます。

※残せる全財産の総額も99万円なので、他に財産があれば、その分少なくなります。

手持ち金がない場合は、親族等にお願いして出してもらうことも可能です。

ただし、この場合、相当額を「借りる」ということはできません。

自己破産手続きの過程で更に借金をすることは認められないので、返済不要のお金を出してもらうことになります。

この方法も、管財人や裁判所の許可のもとに行われます。

ただ、手持ちの現金で支払う場合、自己破産に至る状況で多額の現金を保持していることが不自然と思われて詳しく調査される、という可能性はあるかもしれません。

まとめ

自己破産手続きにおいて、多くの財産は手放すことになります。

大きな借金をチャラにして債権者に損害を与えることになるので、破産者が多くの財産を保持することが認められないのは仕方のないことです。

しかし、破産手続きは、申立人の生活を再建することが目的です。

生活する上で必要な財産は、合計99万円の範囲内であれば保持したままにできる可能性があるので、諦めずに司法書士や弁護士にご相談ください。