自己破産が不成立
一般的に自己破産申立てが裁判所によって却下(免責不許可)されることはまずない、と言われています。
殆どは申立通りに免責が許可され自己破産が成立するのですが、まれではありますが不許可になる場合もあります。
法律で自己破産が免責不許可になる事由が明記されています。
不許可事由の一つである浪費や賭博(パチンコや競馬等)で自己破産状態に陥って自己破産を申立ているような場合、自己破産が不許可になったらどうなるのか、、と不安になる方も多いですが、実際は不許可になる割合は約3~4%前後とされ、自己破産のほとんどは成立しています。
不許可事由に該当するような行為をしていても、ほとんどが成立しています。
しかし、100%ではないので不成立の3~4%に該当する可能性はあります。
不許可事由に該当する行為をしている方が自己破産の申立をする場合、どのようなケースが不許可になっているのか、を知ることが重要になります。
知った上で自分の申立が不許可になりそうであれば、個人再生等の他の債務整理方法を検討することになります。
自己破産免責不許可に
免責不許可事由の一つに「自己破産による免責許可確定した日から7年以内に免責許可の申立て」があります。
この事由に関しては、「それは仕方がないな」と思慮されるような特別な事情があれば別ですが、該当する場合は不許可になる可能性がかなり高いとお考えください。
納付すべき金銭(官報公告費用、予納金(管財人費用))を納めない場合も却下されることになります。
また、当然ですが、申立後に連絡がとれなくなり裁判所の呼び出し(審尋や債権者集会)にも応じないような場合も却下となります。
他の事由に関しては、該当したからといって必ず不許可になるわけではなく、多くは裁判官の判断(裁量)で免責許可になります。
ただし、その内容(悪質性等)によっては、裁量する余地がなく免責不許可になってしまいます。
不許可になった事例
不許可になる基準というようなものはないですが、悪質性や金額が大きく関係すると思われます。
同じような行為でも、その額が数百万円もの高額になると悪質性が高いと判断されて不許可になる可能性が高くなります。
- 債務整理手続きを弁護士に依頼する直前に生命保険を解約して数百万円の返戻金を妻の口座に入金させ飲食等で費消していた。また、依頼後も多額のお金を妻の口座に移し替えて費消していたり親族に安価で不動産を売却していた。
- 管財人に虚偽の説明や暴行まがいの行為をした。
- 認知症の夫の口座から勝手に預金を引き出して数百万円をギャンブルに使った。
- ギャンブルで数百万円の借金をつくっていたのに、裁判官に虚偽の説明し真実を隠し続けた。
- 多額の金銭をギャンブルに使っていたにもかかわらず金額を少なく説明し、一部の資産を申告せずに隠匿していた。
以上が不許可事例の一部になります。
上記の事例を見ても分かるように、真摯に自己破産に至る経緯を顧みて反省して手続きを行うことが重要になります。
自己破産手続きを依頼したにもかかわらず、原因となったギャンブル等の浪費を隠れて続けていたり、自己破産することを前提に積極的に多額の借金をして浪費しているような場合(破産詐欺罪に問われる可能性もあります)、不許可の可能性が高くなります。
自己破産は、債権者に数百万、数千万円もの債権を失わさせる法的効力を持っています。
それだけの損失を債権者に与える以上、裁判官や管財人は申立人(債務者)の態度をしっかり見ています。
財産を隠して少しでも得をしよう、都合が悪いことは言わずにごまかそう、というような態度に見られてしまうと、裁判官も裁量で許可をすることをためらうでしょう。
一番重要なことは、「隠さない」「真実を言う」ことにつきます。