借金を抱えて毎日の生活が苦しい。
自己破産して生活を1からやり直そう。
自己破産は最後の法的救済手段と言われています。
しかし、借金があれば必ず自己破産できるということではありません。
自己破産の要件
破産法は、債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整して債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図り、債務者に経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的としています。
破産法の第1条で、対象者を「支払不能又は債務超過にある債務者」としていますので、自己破産の申立をする上で、「支払不能」か「債務超過」である必要があります。
「債務超過」は、借金が収入と財産等の総資産を上回っているケースを言います。
今ある財産を全て換金しても借金を完済できない状態です。
ただし、債務超過は法人が自己破産する場合の指標になるので、個人の場合は「返済不能状態」が判断基準となります。
返済不能
自己破産を不許可とする事由が法律で規定されていますが、事由以前に「返済不能状態」であることが大前提となります。
破産法では、債務者が支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態を「支払不能状態」としています。
破産法で示す支払不能状態には以下の3っの要件で構成されています。
- 支払能力を欠いている。
- 弁済期にあるも債務を弁済できない。
- 一般的かつ継続的に弁済できない。
収入や財産に対して借金がいくらであれば弁済できない状態と言えるのかのような金額面での明確な基準はなく、破産法で示されているのも抽象的なので、最終的には裁判所が判断することになります。
例えば、手取り収入が30万円あって借金総額が数百万円で毎月の返済額が5万円であれば、これだけ見れば返済不能状態にあるとは言えません。
しかし、子供が多くて食費等の生活費、これに光熱費や家賃等々の費用に毎月の返済返済金を加えると30万円を超えているような場合であれば、支払不能状態にあると判断される可能性が高くなります。
また、破産法15条には、「債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。」と規定されています。
返済すれば生活できないとして返済を停止しているような場合、その状態をもって支払不能状態にあると推定されます。
返済停止=返済不能ではなく、返済できる資力がありながら故意に返済を停止したような場合は含まれません。
不能状態の目安
支払不能は継続的に返済できない状態なので、今月(に限り)は返済ができそうにない、というだけでは不能とは言えません。
返済できない状態は全部の債権者に対する返済を対象としているので、一部の債権者に返済できたとしても全部の債権者に対して返済できなければ返済不能となります。
仮に、継続的に返済をしていても、それが他からの借金だったり、継続しがたい方法で得たお金による返済であれば、既に支払不能状態にあると判断される可能性が高いです。
返済不能状態についてもう少し掘り下げると、現在の手取収入から生活費を差し引いた額が毎月の返済額を下回っていたら返済不能と言えるでしょう。
大体の目安としては、現在の借金総額(利息も含む)を36で割った額が毎月の返済可能額(手取り収入ー生活費)を上回っていれば、返済不能状態にある可能性が高いと言えます。